うさぎの耳には音を聞きわけるという働きのほかに、体熱を下げるための働きも持ち合わせています。耳には多くの毛細血管があり、この血管を流れる血液が冷やされることで体熱が下がることに繋がります。逆に寒い時には体熱が下がらないように血管が縮むそうです。このことから、耳をそっと触った時の感じる温度や、熱を帯びている時には赤くなるなどの変化で、うさぎさんの体に変化がないかということを観察していただくことができます。今回の場合は、グルーミングや抱っこの後に特に熱くなるということです。グルーミングは体全体をブラッシングしますので、血行もよくなると考えられます。また抱っこの場合と同様に、直接飼い主さんと触れ合っている場合も多く、その飼い主さんの体温を直接感じる状況もあると思います。これらのことから、ひとりでゆったりと過ごしている場合よりも体温が上がる傾向はあると考えられます。また室内の環境も暑すぎるということはない状態です。熱中症などの心配があるとは言い難い環境ですので、病気のサインとして見られる体温が下がり、代謝が悪くなっている状況ではないと捉えていただける部分もあるのではないでしょうか。ただし室内の温度のほか、うさぎさんが過ごす場所（ケージ周り）の温度、湿度なども合わせて観察していただくことも大切です。うさぎにあった飼育環境の温度は、１５℃位から２５℃、２６℃位までが許容範囲とされています。繁殖時や病気の時などは２３℃位に保つ事がよりよいようで、湿度は常に４０～６０％が理想といえます。ただ、飼育書によっては、湿度が３０～７０％という紹介もされているようですが、この場合は室温が１６～２１℃の範囲であることが保てた場合ということでもあるようです。この環境をひとつの指標としていただきながら、これまで過ごしていた環境を再確認していただくこともよいと思います。今のうさぎさんの状態が健康で問題がないということであれば、これまでの環境がこちらのうさぎさんにとって合っているともいえることです。食欲や行動に変化はないということですが、どうしても不安があるという時には、獣医師に診ていただくことで安心できることもあると思います。その場合、どういった環境の中で過ごしているかということを明確にお伝えするためにも、ケージ周りの環境や、耳が熱くなる時の様子も合わせてご報告いただくことで、より的確な診断ができるといえると思います。通院の心配もあるという場合には、かかりつけの獣医師であればお電話でも相談に乗っていただけることもあると思います。不安なまま過ごさずにその不安を解消してもらいましょう。傍にいる飼い主さんに不安などのストレスがあることで、そのことがうさぎさんに伝わることもあります。お互いが快適に過ごすことができる環境であることが一番ですから、飼い主さんが納得のいく答えを見つけていただくことが大切です。