2020年09月07日 掲載
現在、アメリカのワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などで兎出血病ウイルス2型(RHDV2)が流行し、日本でもいくつかの発症例が確認されています。カリフォルには州では、この感染が減少傾向にあるようです。遠く離れた日本で憂慮する大きな必要性はありませんが、うさぎと生活されてる皆様は心配だと思います。うさぎのしっぽとしては、現在の情報をうさぎ飼い主の皆様にお伝えする必要があると思い、WOOLY社とOXBOW社(株式会社川井)の2社から出されている内容をお伝えいたします。
1:兎出血病ウイルス/ 兎出血病(※)について
兎出血病ウイルスは、うさぎへの感染により致死率の高い出血性の疾患(=兎出血病)を 引き起こします。1984 年に兎出血病ウイルスの1 型(RHDV)が中国で初めて確認され、その後2010 年に2 型(RHDV2)がフランスで出現しました。発生以降、2 型(RHDV2)はヨーロッパや地中海で急速に広がり、1 型(RHDV)に取って代わる支配的な株となっています。現在アメリカで感染が拡大しているのも2 型(RHDV2)です。
【うさぎへの感染】
1 型・2 型ともに、うさぎに感染すると数日の潜伏期間を経て下記のような症状を呈し、多くの場合で死を招くとされています。(無症状のまま亡くなる場合や、保菌状態で生存し、感染を広げる例も報告されています)
・食欲不振 / 無気力 / 高熱 / 発作 / 黄疸 / 鼻、口、直腸からの出血 / 呼吸困難 / 突然死
致死率が高く、また現状、有効な治療法が確立されていないため、うさぎにとって非常に脅威的なウイルスといえます。ヨーロッパではワクチンが開発・運用されていますが、日本やアメリカでは未認可のため使用できません。
(※)RHD、兎ウイルス性出血病やウサギエボラと呼ばれることもあります。
(有限会社ウーリーより転記)
2:なぜ減少傾向なのか?
・季節性ウイルスの活力の低下
・獲物と捕食者の季節的活動
・気候と湿度
・潜在的な昆虫媒介と繁殖期間の要因
ウイルスの活動には暑さと湿度が影響を与えることが確認されています。猛暑のため、夏季の捕食者は活動が少なく、獲物が大規模に移動する可能性は低くなります。昆虫の繁殖期は夏期ではないため、感染媒介は減少します。よって、現在の症例は徐々に減少しており、これは米国で現在観察されているものと一致しています。ウイルスの活動は夏に減少しますが、秋と冬に徐々に増加し、春に最も活発になります。したがって私たちは、オーストラリアの事例を考慮して警戒し、次の流行に備える必要があります。
(株式会社川井より転記)
3:アメリカでの対策
それぞれのメーカーでは、USDA(アメリカ合衆国農務省)発表のデータやハウスラビット協会(House Rabbit Society)の見解など常に注視してバイオセキュリティー(防疫措置)に取り組んでいます。
1:牧草の最低3ヶ月の隔離
2:品質管理システムの再検討
3:現状の分析と対策
うさぎのしっぽとして、適切に管理されたメーカーや工場から日本に輸入される牧草やラビットフードにおいては、兎出血病ウイルス2型(RHDV2)に対する影響は極めて低いと判断しています。また、何か最新情報がありましたら、皆様にご連絡いたします。
参照
https://wooly.co.jp/index-file/index-images/news/ol_pdf-rhdv2.pdf
/simages/websitenews/Oxbow%20offical%20statement-RHDV2.pdf