ご友人のうさぎさんを預っているとのことですので、大変気もお使いでいらっしゃることだと思います。うさぎさんにとって環境が変わったことでもありますので、警戒心を持ったり、体調に変化があったりする場合もあることだと思います。まずは、気が荒くなかなか触らせてくれないということには、この環境の変化も関係していることではないかと考えられます。もともと気が荒いという子であればまた話は変わってきますが、うさぎさんを取り巻く環境が一変したといえる状況ですので、うさぎさんにも戸惑いがあるのだと思います。お世話してくれる人を認識してくれるまでは、警戒する素振りも見られることは十分に考えられることです。もともとの飼い主さんからどういった性格のうさぎさんなのか、大好きな食べ物は何かなどを聞き出していただいて、様子を見ながら大好きなものでコミュニケーションを取っていただくことが距離を縮める近道となると思います。また、突然アクションを起こしても受け入れてくれないこともありますから、まずはケージの側で一緒に過ごすことから始めていただいて、側にいることを自然に受け入れてくれるようになった時、優しく声をかけてみる、警戒しないような様子が見られるようになったら、ケージ越しに好物のおやつなどを与えてみるというように、段階を踏みながら試してみていただくと、うさぎさんも受け入れやすい環境となると思います。そして、額に見られる毛が抜けている状況についてですが、環境の変化によるストレスということも考えられるようです。地肌の部分が赤みを帯びていたり、フケや傷などがある時には慎重に対応していただくことが必要です。今回の場合には毛も生えてきている様子が見られますので、回復へ向かっていることと捉えられるようです。このまま様子を観察していただける状況かもしれません。ただ、先ほど申し上げたような心配な状況が見られる時には、獣医師へご相談いただくことが必要だと思います。次に、与えている牧草を寝床へ運び、なおかつ体の毛をむしってその毛も集めている状況は、巣作りといえるようです。性別が女の子であるならばより断定できることだと思います。繁殖の行為はなかったということであれば、疑似妊娠の状況といえるでしょう。飼い主さんへの繁殖の行為があったかどうかの確認を取っていただいて、本当に出産が控えているという場合には、慎重に対応していただくことが必要になってきます。そうではないという場合には、環境が変わったことでうさぎさんにも変化が起きているのだと思います。他にうさぎや動物がいるような場所で過ごしたりしているならば、少なからず影響を受けているともいえるでしょう。発情を向かえていることなども考えられます。冒頭の気が荒い、気が立っているということも、この発情やもしくは出産を控えていることなどでも見せる行動でもあります。今うさぎさんに何が起こっているのかということを把握するには、まず本来の飼い主さんに、ひと月前までさかのぼった状況をご説明いただくことになると思います。うさぎの妊娠期間は約30日ですので、この点も踏まえてご確認いただくとよいと思います。そして繁殖の事実はなく疑似妊娠だという時には、その行為を助長しないように環境を整えていただくことが必要になります。ホルモンのバランスのいたずらによって、実際に妊娠していない子に働きかけ、産室を作る様な行動をみせたりする行為が疑似妊娠の状況です。この本能行動が助長されないように、つくった巣は取り除いていただくことが必要です。また体の毛をむしって巣材にすることも見せていますので、この場合も直ぐに取り除いてあげていただきたいと思います。毛を口にふくんでいる場合には、その毛を飲み込んだりしないように、取ってあげることも必要です。また、長めの牧草を与えることもよい方法です。産室を作る素材がないと思うと、必要以上に毛を抜く行為を見せますので、この牧草で代用させてあげられます。疑似妊娠は大抵２週間ほど続くようですから、経過を観察していただくことになります。また、吸水シートをうさぎさんが自由に動かしている様子も伺えるのですが、誤って齧って飲み込んだりしては危険ですので、引き出すことができない工夫をとっていただくことも重要です。飼育環境を今一度見直していただくことも重要だと思います。数冊の飼育書などにも是非目を通していただきたいと思います。